第3回 「絵をみるキッカケと観察する楽しさ」
アートの世界「芸術散歩」コーナーも今回で第3回目です。みなさまには、楽しんで頂けておりますでしょうか。

 本題に入る前に、私事ですがここ1年くらい作家・椎名誠の本を連読しています。最近読んだ『岳物語』(“岳-がく”は息子の釣大好きの少年。)という私小説の中で、岳少年が師と仰いでいる野田知佑というアウトドアマンが登場します。岳に色々なアウトドアの楽しみ方を経験させていくのですが、彼はカヌー名人で、カヌー犬“ガク”を連れて日本や外国の河を漕いで旅をするのがライフワーク。私の興味はそこで止まっていたのですが、先日、家の本棚に偶然、野田知佑著『北極海へ』という本があるのを発見しました。
 野田師匠は物書きだったんだー!とオドロキ・ヨロコビました。その本は、家族が以前出版社から、そうとは知らずにもらった1冊だとわかりました。そういうこともありまして、カヌー、カヤックというものにすこし興味を持つようになり、当サイト“カヌーセミナー”を開いて「フム、フム・・」とオモシロク読むようになりました。(ほかのも読んでますよ。)

 かなり前置きが長くなりましたが、このようにひとつの事から次々と繋がっていたり、興味を持ってきたりと、自分が今まで知らない事、無関係だった世界に足を踏み入れていくのは好奇心を刺激されて、生活にもぐーんと張りが出てきます。

 皆様にも、多少なりとも絵のことに興味をもってお付き合いしてもらえれば!と思います。街に出てギャラリーを見つけたら「おっ!絵だな」と興味を持って下さいね。

 今回は、日本で版画ブームを巻き起こした画家“ヒロ・ヤマガタ”を紹介しましょう。
皆さん、絵のことはあまり詳しくなくても、“ヤマガタ”と聞けば、だいだいは想像つくという方も多いのではないでしょうか。
 また、名前は知らなくても彼の絵を見れば、「ああ、この絵、知ってる!」という方もおられるでしょう。

 ヤマガタは、1948年(昭和23年)滋賀県米原町生まれ。‘78年、米ロスアンゼルスに移り画家として活動し日本ではじめて紹介されたのは‘83年ですが当時、奇抜でマンガチックな絵のせいか、賛否両論だったのです。翌84年東京の小田急百貨店での初個展がきっかけで爆発的な人気を生み出しました。(街中、彼の絵があふれていましたね。)

 これまでの絵画取引というのは、一部のお金持ち階級のコレクター相手だったので、一般消費者にはわからない世界でした。皆様の中にも美術品と聞けば敷居が高いと感じ、画廊に入るにも尻込みする人も多いのではないでしょうか。
それが、ヤマガタのような版画作家が活躍するようになって、一般に受け入れられて飾られるようになったのです。またバブル期と重なり、その後10年位ヤマガタブームとなり、どんどん売れるようになったのです。ファン層の世代として多いのは30代から50代の青年層ですね。
 
ヤマガタの描く絵はまず、何といっても色彩の鮮やかさ、色数の多さに目が止まります。そして緻密さ。(米粒に絵が描けるのですよ!)
底抜けに楽しく明るく絵の中を覗くと、ストーリー性に富んでいます。彼は必ず、街中や公園の中にたくさんの人を描きます。そして彼らがとても活発に“動いている”のです。

 描かれた人々を追っていくと、とても愉快です。恋人に振られてがっかり肩を落としている男や、建物の屋根の上でビキニ姿で日光浴している女の人とか、細かいディテールを、1日中見ていてもあきません。そうですね。まるで映画を観ているようです。本当は、皆様にぜひ実物を間近で“鑑賞”ではなく、“観察”してほしいですね。

 ここに紹介する絵は、彼の代表的な作品です。ちなみに、「ツール・ド・フランス」の原画はアートアンドシーにあります。
「ペリエ」
        



  (c)YAMAGATA 「ペリエ」
1982年、ヤマガタブームを築いた作品です。“Perrier”(ペリエ)と書かれた気球からタイトルをつけています。この真っ青な空色が「ヤマガタブルー」と言われています。
 
「ツール・ド・フランス」

1993年作。フランスで毎年開催される国民的行事。自転車のロードレース。
コンコルド広場の石畳を緻密なまでに巧みに描いている。
昨年は7/3から、約3週間、3690キロを周る。9人編成で総勢180人で競った。


 (c)YAMAGATA 「ツール・ド・フランス」
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