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第12回: 近畿の温泉

1 ゆりの山温泉 

 南紀の勝浦温泉といえば素晴らしい温泉地であるが、その近くにも良い温泉が点在している。湯川、夏山、那智天然、そしてゆりの山などである。どれも湯量豊富な硫黄泉で良い湯である。ゆりの山温泉はゆかし潟という湖に面して位置している。潟には鵜や水鳥が泳ぎ静かな立地で水面の景観も美しく保養に最適。
 38.5度の単純硫化水素泉で掛け流しの素晴らしいヌル湯となっている。pH9.7であるが炭酸イオンが少ないためにつるつるの感触はない。透明でたまご味強く、硫黄臭多しといった観察。すごい量の湯が掛け流しになっており湯船からどんどん溢れている。また6箇所あるカランはすべて流し放しという豪放なものである。
しかし分析表によると毎分126リットルと比較的少なく、これは完全にこの小さな浴室で使いきっているので感覚的には凄い量と感じる。「新鮮な湯この上ない温泉」である。
 ここの湯の最大の特徴としては硫黄分の存在である。たまご味が強く、硫黄臭より勝っている。これは硫化水素イオン(HS‐)が9.2と多く,遊離硫化水素(H2S)の2.4より多いためであると推測できる。各地の温泉の硫黄泉は温度または酸化のバランスによって緑色、白濁、黒い湯の華などと微妙に変化するものがあるが、ここはまったくの透明である。しかし一級の硫黄泉であることは間違いない。

                


2 .塩田温泉  知新荘

 含炭酸重炭酸土類鉄泉15.5度の温泉です。緑褐色に濁り、炭酸の加熱後に残るさわやか味と鉄味強し、金気臭あり。との観察。
 成分は炭酸が1639と多く、あとはカルシウム系の炭酸水素泉。 
 Na 567 Ca 1219 Mg 102 HCO3 3889などで 計8865の等調性の濃い湯、しかし玄関前の飲泉場では到底1639とは思えないほどの沸騰状態の炭酸の気化がある。飲むと強い炭酸味がする。自然の炭酸泉でのど越しが痛いのはここぐらいかと思う。
浴槽の床は津軽湯の沢温泉の「でわの湯」のごとくうろこ状、たくさん写真をとってしまった。しかし源泉をもうすこし多く足してほしいと勝手な願いがでる。

               


3 .山海空温泉

 大阪府内とは思えない、ローカルな景色の中に共同湯風の小屋がある、橋を渡ってアプローチするとき、良いたたずまいだなと思う。プレハブの休憩所群がちょっとマイナスだが.....単純硫黄泉の鉱泉である。3種類の温度の湯に入れる。
 当然未加熱の浴槽がいちばん硫黄臭が残っている。超秘湯といった意外さが、一般的な泉質ではあるが温泉の楽しさを付加して純粋に泉質だけでは得られない満足感を与えてくれた。

              


4. 木津温泉  しらさぎ荘 

 旧宮津線の木津温泉駅の近くにあるしらさぎ荘は印象的である。浴室の建築が大正時代か昭和初期のモダニズムを彷彿させる箱型の洋館で、窓が綺麗に配置され、基本はインターナショナルスタイルであるが、アールデコ調の懐古的モダンさを合わせ持った不思議な建築であった。白い外壁で田のなかにひっそりと建つその姿は、ペンキを塗り替えたばかりなのか廃墟の中の白亜の殿堂のようでシュールなイメージであった。というのも訪れた時が早朝で人影がなく、強調されたせいでもあるが。浴室内は洋館特有の天井の高いもので、小判型のモザイクタイル貼り浴槽が中央に1つあるシンプルなものである。湯は37度の単純泉が掛け流しで使われている。透明、無味、無臭の清澄なものである。かなりのヌル湯なので長時間入浴による湯治効果が期待できる。また家族湯もあり小さな曲線の浴槽にやはり掛け流しで温泉が入れられている。 
      
                



5.  天然温泉田辺

 Na-Cl強塩泉 53.4度 369リットル 大阪の市街地の中にある健康ランド的温泉施設。立派に温泉の個性がある。弱い緑色に濁り、弱塩味+鉄渋味、金気臭+微硫黄臭ありとの観察。サウナ前に露天風呂がありこちらはやや濃い。
 高調性とのことだが、一般部分は一部加水していると思われる。

                


6  天然温泉トキワ

  単純泉(硫黄系) 微黄色、少たまご味、弱い硫黄臭あり。堺市内の一般的銭湯といった佇まいだが、立派な温泉が湧いている。
 番台の人の話では43度であるが、これは利用温度で源泉は50度以上あると思われる。三段の深い浴槽に掛け流しとなってる。しっかりとした硫黄泉の感触があり満足する。突然変異のような町の中の硫黄泉であった。

                  


7. 堅田温泉  びわ湖タワー  

 
単純泉(土類重曹系)32.2度 Na154 Ca22 NH4 28.2 Mg 11.6 Fe 6.8 
Cl 143 HCO3 456 などいろいろと入っているがわずかに1000mgに届かないので単純泉と明記される。しかし感触は重炭酸土類鉄泉のものである。大きな岩風呂の内湯で源泉槽があり、好感した。
 この源泉槽をみておおっと思った。個性が、いまは休業中の山梨の幸福温泉に似ているではないか、この濁りと金気臭はほんの6.8mgの鉄のためである。使い方によってその個性が良く出ている。茶褐色、渋味+重曹味、金気微薬臭32.2度の掛け流しが良い。

                


8. 入の波温泉  山鳩湯 

 
奈良県の山奥に忽然と素晴らしい温泉がある。吉野川の最上流で大台ケ原山のふところにある入の波温泉である。含食塩重曹泉の39度で驚くことに毎分27000リットル湧出している。炭酸も多く含み湧出時は炭酸の気化で沸騰状態である。炭酸系のこの湯の特色は析出物と金気臭である。
 丸太を利用した浴槽はキャラメルのような析出物で固化し陶器のようになっている。掛け流しの量が多く豊富な源泉を物語っている。分析表では炭酸の含有は762mgであるが源泉直の新鮮なものはさらに高い値であると思われる。

                



9. 月野瀬温泉  共同湯

 
和歌山県の古座川は美しい清流で日本有数の貴重な自然と聞いている。大事に守って頂きたいと思う。そんな美しい風光の地に良い温泉が湧出している。月野瀬温泉である。大野屋とぼたん荘という宿があるが共同湯も素晴らしい。鄙びたコンクリート造りの浴槽で外観は物置小屋風であるが湯は良い。重曹系の単純泉であると推測するが、炭酸イオンが多量に含有されているのであろうつるつる度は最高のレベルであった。
 ここは地元の方専用なので入浴時には必ず許可を取ってください。


                
 

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