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第15回: 南九州の温泉(最終回)

1 塩浸温泉源泉ドーム    鹿児島県牧園町 

 
天降川沿いの妙見温泉から塩浸温泉にかけては、温泉が多数湧出していて素晴らしい地域です。重炭酸土類泉の良好な温泉が湧出し、所々に野湯が点在している。国道横の竹薮を乗り越え河原に下っていくと凄い光景があった。一部落ち葉などで蔽われているが、直径50m厚さ2mほどの析出物台地の頂上部に炭酸とともに湯が涌いていた。頂上の湧出地点にて入るのは高温のため不可能であろう。源泉は川に向かってその析出物台地の上を流れていてそれが川に落下するところでは適温になっている。丁度よいことに、一部深くなって座れば腰まであるこの川原の即席湯船で入浴した。天然記念物的な状況であろう。
面白いのは、湧出直後なので充分に溶け込んでいる炭酸が、泉温が高温のためすぐ抜けたがっていることである。タオルをいれるとそれを触媒として真っ白に泡立つ、身体中の毛は炭酸飲料のように総毛立って真っ白である。驚きの野湯体験であった。

 


2 えびの温泉  市営露天風呂       宮崎県えびの市

 もう10年前以上であろうか、バイクで野天風呂ばかり廻っていた昔の時の記憶では透明な明礬泉でヌルい湯であったが最近違うような写真を見るので再訪してみた。驚いたことに乳白濁の硫黄泉で、メインは酸性明礬石膏泉であった。正確には酸性含硫黄−Ca、Al−SO4泉(H2S型)である。特記するべき含有成分はH2.0 Al 37.7 S2O3 2.7 H2S 8.2 CO2 392.7 である。火山性の酸性泉の特色に似ている。昔の記憶と違うのでこれからは再訪も積極的に交えて湯巡りを続けて行こうと思った。
露天風呂のみの温泉でワイルドな感触である。以前は「よくある露天風呂」と軽視していて記憶は薄かったがなんとも良い湯ではないか、、、CO2もしっかりと酸性の奥に感じられ硫黄臭も強かった。暴風雨であったので誰もいない温泉であったので、さらに評価が高まったのかもしれない。


    

 


3 湯穴温泉   宮崎県都城市

 
ここの湯は衝撃的であった。以前鹿児島空港の出発時間に追われ短い滞在であったので昼間に再訪した。含炭酸鉄−重炭酸土類泉の濃厚なもので
蛇口から源泉が出る。鉱泉であるが個性的で良いものであった。加熱の後は
下記の濃厚な重炭酸土類泉と同じく表面に幕が張り、析出物多量の個性派温泉である。茶褐色濁り(20センチ)、炭酸渋苦薬味強し、金気臭多しのもので浴槽廻りは析出物で全て曲線になっている。加湯自在で蒸気加熱という赤来町温泉や朝倉、木部谷などと同じく温泉好きには申し分のない設定である。
というよりも蒸気加熱しか成分が濃くて不可能であるとも言える。
土類成分は炭酸分や重炭酸といっしょになると素晴らしい造形を見せ匂い、色、析出物などがどんどん増え楽しくなる。また味覚も苦味や渋味を加えて行きこの面白さは温泉に来て良かったなあと思わせる一番の要素になっている。まさかり温泉や入の波温泉やでわの湯、奥奥八九郎なども同様である。ここの湯は炭酸と薬味の混ざり合いが超個性的な味覚にしている原因であろう。

   


4. ゆたか温泉   鹿児島県鹿屋市 

 一般的日帰り温泉施設の外観で、お湯に期待することなく入るが良い温泉
のもつ感触が一瞬でわかった。観察して飲泉や嗅覚に訴える前に身体全体から良い湯が伝わってきた。全国的にもそのような一瞬で感触できる物はそうとう少なく名湯であろう。総計14530の含食塩重曹泉で43.8度。Na4117 Cl2768  HCO3 6735 の値は重曹泉全国ベスト3に入る濃厚なものであった。
表層水に薄められることなくこのような濃さで重曹泉が現出していることは貴重である。CO3から来るあっさりとしたぶどうの内皮のようなとろみではなく、濃度のある重曹による粘りのあるとろみがあり「つるつる強し」のもの。透明、純な重曹味+少塩味、無臭であった。この湯を200リットルの浴槽で実際に入ろうとすれば入浴剤で言えば2缶、2730グラムもの重曹と塩をどっさりとも入れなくてはならないが、そんな湯が実際に地中から湧出していることに驚く。
目の醒めるような温泉に巡り合えて温泉巡りの醍醐味を味わった

               



5. 浜児ヶ水温泉  浜の温泉   鹿児島県山川町

 薩摩半島の最南端の山川町は開聞岳のシルエットと亜熱帯のような植生で異国の地を思わせる風光である。鰻温泉や成川温泉、徳光温泉などの温泉と天然砂湯の伏目温泉もあり地熱が高い大温熱地帯である。この浜児ヶ水温泉は小さな共同湯で80円の入浴料は日本一安いとの振れ込みの温泉である。50円や60円の温泉も多いのでどうやら自称ということである。外観は鄙びているが内部は綺麗にしつらえられ、タイル貼りが新しい。透明、弱塩苦味、無臭 カルシウムを含んでいるのか近くの徳光温泉より苦味が際だっている。浜に下りると砂浜に自然湧出があるとのことであるが本日は高波で近づけなかった。


  


6  吹上温泉  みどり荘   鹿児島県吹上町

  北薩摩の名湯、吹上温泉は良好な硫黄泉で硫化鉄のためか黒味を持った
湯で珍しい。その中でもみどり荘は小さな湖のみどり池を囲むように配置された離れ主体の風雅な宿。派手さはなく落ちついた造りである。他の吹上温泉と同系の単純硫黄泉であるが、内湯の源泉は黒さが強く湯口に黒い析出物が溜まっている。更に浴槽には黒い墨汁が沈殿していて真っ黒である。墨色(50センチ)、たまご重曹味、硫黄臭。塩原元湯の大出館と並ぶ珍湯であろう。しかしここの本領発揮の湯は湖畔を廻り込み対岸にある紅葉源泉であろう。露天風呂があり、透明、たまご味、少硫黄臭でつるつるやや強しの湯は新鮮でまさに「玉のような硫黄泉」であった。勝浦温泉の浦島を連想し、こちらが玄武洞の湯で内湯がハマユウの湯である。

   



7. 米丸温泉  鹿児島県蒲生町 

 簡易な温泉施設が長く営業したと言う感じの温泉。コンクリートの浴槽に茶褐色の温泉が入っている。重炭酸土類食塩泉で総計3647のもので特記成分はCO2 652 Fe 11である。土類成分も良く含まれ匂いや味覚に良く表現されている湯である。茶褐色(20センチ)、重曹炭酸弱塩味土類臭の好きなタイプであった。

   


8  阿久根温泉  玉の井  鹿児島県阿久根市

阿久根の市街地にある温泉。この玉の井は鄙びた宿で41度の強食塩泉が多量に掛け流されている。木造の古い造りで浴槽は円形のタイル貼り銭湯のような造りである。しかし自炊可と書いてあり泊まってみたくなった。
湯は透明、強塩味、少金気臭 総計33328mgの濃い湯。先ごろの地震で温度が上がり44度近くなっていた


    


9 白木川内温泉  鹿児島県出水市

良い湯であった。単純硫黄泉で総計は極めて薄い304mgでが14.7mgCO3 33mgの特別の個性ある2つの成分によりつるつるすべすべと硫黄臭の驚くべき良い温泉の浴感を出している。さらに特記することは貴重な足元湧出源泉浴槽であることである。
 上の湯の男女別浴槽とすぐ手前の下の湯の小浴場とあり下は半分ほどの大きさである。湯の掛け流れ量からすると上のほうがより新鮮である。記憶にあった源泉湧出穴は壁の横にあって、腕の半分ほどの深さ。岩盤剥き出しで湯川内温泉の静かな雰囲気より野性味がある。

  

10  坊中温泉   夢の湯  熊本県阿蘇町

含硫黄重炭酸土類芒硝泉(含S−Na、Mg−SO4、HCO3泉)の52.4度の湯。総計2451で成分は Na 447 Mg 88 Fe 2.9 Cl 132 SO4 887 HCO3 518 HS 0.9 H2S 1.6などである。
透明度7センチの黄土色に濁り、硫黄による仄かなたまご味+土類渋味+薬味+苦味残る。土類臭強し+硫黄臭あり。という複雑で濃厚な良い湯であった。色が鮮やかで今日は特別色が濃いと女将さんが言っていた。
飲むと硫酸塩泉特有の粉っぽさを感じるほか鉄や土類も強く感じる。よって成分よりずっと濃く感じる。阿蘇周辺はここの他、内牧を始め、赤水、乙姫様温泉など芒硝系の良い湯が多く、色付きで存在感もある。

 

11  辰頭温泉    熊本県泗水町

ここは気に入った。外観は一般的日帰り温泉であるが湯が良い。含食塩重曹泉で43.8度 透明やや淡い白濁、塩味+たまご味、硫黄臭ありのもの。HS 0.8 H2S 0.2 総計2745のつるつるの湯が掛け流しされていて、湯口付近は新鮮なため気泡で白くなっている。近づくと泡付きも見られる。弱いが正統的な硫黄臭もあり、総合的に満足した。
陽イオン769のうちNa 725。陰イオン1855のうちHCO3 1513の純重曹系であるが333のClもしっかりと残っている。土類や金気は少ないが楽しい温泉であった。

 

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